ー基礎工事の基本と失敗しないためのチェックポイントー
基礎工事とは何か:建物を支える見えない要の役割
基礎工事は、建物の荷重を地盤へと安全に伝えるための土木・コンクリート施工の総称です。表からは見えませんが、耐震性や耐久性、将来の維持費まで左右する最重要工程です。住宅でも店舗でも、設計と施工、そして検査の三位一体で品質が決まります。
この章のポイントを踏まえたうえで、代表的な基礎形式や選定の考え方を小セクションで詳しく見ていきます。立地や用途、地盤条件で最適解は変わるため、基礎形式の違いを理解することが第一歩です。
ベタ基礎:一体スラブで不同沈下に強い
ベタ基礎は建物の直下にコンクリートスラブを面で打設し、荷重を広く分散します。不同沈下に強く、地盤改良の負担を抑えられる場合があります。湿気対策やシロアリ対策にも有利で、近年の木造住宅で採用が多い方式です。
布基礎:連続フーチングでコストを抑える
布基礎は壁や柱の直下に帯状のフーチングを設け、荷重を線で支える方式です。鉄筋量やコンクリート量を最適化しやすく、計画次第ではコストバランスに優れます。ただし地耐力が十分でない場合は補強や改良が必要です。
杭基礎・柱状改良:支持層へ直接伝える
軟弱地盤では、鋼管杭やコンクリート杭で深部の支持層に荷重を伝えます。浅層改良や柱状改良で地盤そのものを補強する選択肢もあります。近年は地盤調査データをBIMや解析と連携して、過不足のない設計にする動きが一般的です。
基礎工事の流れ:地盤調査から引き渡しまで
全体の段取りを理解しておくと、工程管理や検収がしやすくなります。各工程には目的があり、順番を入れ替えたり省略したりすると品質に直結するため注意が必要です。以下の小セクションで主要工程を要点整理します。
地盤調査と設計
住宅ではスウェーデン式サウンディング試験(SWS)が一般的で、必要に応じてボーリング調査を併用します。結果に基づき、基礎形式・寸法・鉄筋量・耐圧盤厚みを設計し、必要な地盤改良の要否を判断します。
根切り・地業(砕石・転圧)
計画GLまで掘削し、砕石を敷き込み、プレートやランマーで所定の締固め度を確保します。転圧不足は沈下の原因になるため、層厚や回数の管理が重要です。必要に応じて防湿シートを敷設し、地中からの湿気を抑えます。
捨てコンと墨出し
不陸を調整する薄いコンクリート(捨てコン)を打設し、正確な位置出しを行います。ここで基礎外周やアンカーボルト位置、スリーブ位置などの基準を明確にします。
配筋・型枠・インサート
図面どおりの鉄筋径とピッチ、かぶり厚を確保し、スペーサーブロックで浮かせます。給排水スリーブやアース、ホールダウンアンカーの位置はこの段階で最終確認します。型枠は剛性と通りを優先し、漏浆対策を徹底します。
コンクリート打設・養生
受け入れ時にスランプ・空気量・温度を確認し、必要な強度の呼び強度か検査します。打設はポンプ圧送の連続性を確保し、バイブレータで締め固め、天端はレベラーで均します。初期養生と型枠存置期間を守ることが仕上がりを左右します。
品質管理の勘所:図面・現場・記録を一致させる
施工品質は「計画の質」「作業の質」「記録の質」の三点で評価できます。現場だけでなく、提出書類や写真管理も最終的な品質証明となるため、段階ごとにエビデンスを残しましょう。以下の観点を押さえると不具合を未然に防げます。
配筋検査のチェック項目
・主筋・あばら筋の径とピッチ
・定着長さ、フック形状、継手位置
・かぶり厚(底部・側部・上部)
・スラブ増し打ち部、開口補強部の補強筋
・スペーサーブロック、サポート台の配置
コンクリート品質の確認
・呼び強度・スランプ・空気量の受入検査
・テストピース採取と圧縮強度試験
・打設記録(開始・終了時刻、気温、数量)
・打継ぎ位置とコールドジョイント対策
・表面仕上げと養生方法(湿潤・シート・保温)
写真・書類の整備
・配筋全景、定規入りのピッチ写真
・かぶり厚確認写真(スペーサー含む)
・検査チェックリスト、是正記録
・コンクリート受入記録、試験成績書
・是正前後の比較写真とサイン
費用・工期の目安とコスト最適化
費用は基礎形式、鉄筋量、コンクリート数量、地盤改良の有無で大きく変動します。工期は天候の影響も受けやすいため、余裕ある計画が肝心です。次の小セクションで、無理なくコストを抑えるための視点を紹介します。
数量を正しく読む
鉄筋とコンクリートは数量勝負です。拾い出し精度が悪いと、過剰見積もりや不足発注につながります。BIMや表計算で数量連動させ、設計変更時に自動的に更新される仕組みを作ると手戻りを減らせます。
標準化と再利用
型枠モジュールや開口補強のディテールを標準化すると、製作・組立の手間を削減できます。写真様式やチェックリストのテンプレートを共通化し、現場間で再利用することも有効です。
天候・段取りの配慮
雨天や高温時の打設は品質低下のリスクが高まります。天気予報を踏まえ、ポンプ手配やレディーミクストの時間調整を行い、適切な養生資材を事前準備しておきましょう。
よくある不具合と予防策
不具合は施工中の小さな見落としから発生することが多く、事後対応は費用も時間も膨らみます。以下の小セクションで代表例と予防策を示します。事前に想定し、チェックポイント化しておくことが大切です。
ヘアクラック・マップクラック
乾燥収縮や打設時の締固め不足、急激な乾燥で発生します。適切な水セメント比、連続打設、初期養生の徹底、打設直後の散水やシート養生で抑制します。構造性能へ直ちに影響しないことも多いですが、原因究明は必須です。
ジャンカ・豆板
粗骨材の偏りや型枠の隙間、締固め不足で発生します。投入高さの管理、バイブレーターの適正使用、型枠の止水・剛性確保で予防します。発生した場合は断面修復材での是正と再発防止の手順書化が必要です。
不同沈下
転圧不足、地下水影響、偏荷重などが要因です。調査段階での地盤評価、必要な改良や杭の選定、立ち上がりの剛性確保、周辺掘削の計画管理が鍵となります。沈下が懸念される場合は長期計測も選択肢です。
施主・現場監督のための最終チェックリスト
引き渡し前に下記を確認すると、後々のトラブル防止に役立ちます。仕様書・図面・検査記録と現物の一致を一点ずつ確かめ、疑問点はその場で解消しましょう。
・配筋・コンクリートの試験成績書が揃っている
・アンカーボルト、ホールダウンの位置と寸法が図面どおり
・基礎天端レベルと不陸が許容差内に収まっている
・立ち上がり角部の欠け、打継ぎの仕上がりに問題がない
・外周の防蟻処理、床下換気・防湿処理が計画どおり
まとめとして、基礎工事は“見えないからこそ見える化”が肝心です。工程写真と検査記録で品質を証明し、標準化と段取りでムダを削り、適切な養生で仕上がりを守る。これらの積み重ねが、住まいの安全と長寿命化、そして総コストの最適化につながります。
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