有限会社成蹊技建

建築の基礎工事とは!?4つの施工の種類と8つの基礎工事の流れ

 

建築物を造るときに建物の耐震性を左右する程大切な工程が「基礎工事」です。

基礎は住宅等の建築物を支える大切な部分で、

住宅が完成してしまってからは修正することができません。

そのため、手順をしっかり守って施工していなければなりません。

そこで基礎工事とはどういうものなのか、基礎工事の流れをご紹介します。

 

 

基礎工事とは

基礎工事とは建築物の土台を造る工事で、

土地と建築物のつなぎの部分を造る工程のことをいいます。

「基礎」は建築物と地盤をつなぐ構造物の事で、建築物の重さを安全に地盤に伝え、

地盤沈下や変形に対して耐えられる構造でなければならないとされています。

基礎がきちんとしていないと地盤沈下が起こる恐れがあります。

地盤沈下とは地盤が圧縮され沈む現象を言いますが、

地盤沈下により建物が損壊したり傾きが発生するだけでなく、

地中のガス管などライフラインの破損が起こることがある為、基礎工事がとても重要になります。

 

 

基礎工事の4つの種類

基礎工事は大きく分けて弱い地盤を改良する「杭基礎」と

地盤に直接施工する「直接基礎」の2つがあります。

直接基礎は更にベタ基礎、布基礎、SRC基礎の3種類に分かれます。

 

杭基礎

地盤の弱い土地で用いられる、地盤の固い部分まで杭を打つ方法です。

杭基礎に使われる杭は支持層まで到達させる「支持杭」と

支持層が無い場合に杭側面の摩擦で支える「摩擦杭」があります。

杭基礎数メートルの深さの固い地盤まで杭を打ちますので、

住宅を安定させる効果だけでなく、地震などによる液状化も防ぐことが可能です。

 

ベタ基礎

ベタ基礎は床下全体にコンクリートを流し、床下空間を作る方法です。

床面と立ち上がっている部分を鉄筋コンクリートで一体化させる手法で

建物を面で支えるため地震に強い安定性を持つというメリットがあります。

面で建物の荷重を支えるため、

不同沈下といって建物が不揃いに沈下を起こす現象を起こしにくいのも1つの特徴です。

阪神淡路大震災以降に普及した工法で多くの住宅で使われています。

コンクリートと共に防湿シートを設置しますので、地中からの水蒸気を防ぎ、

湿気やシロアリの侵入を防いで建物を守ります。

 

布基礎

日本の木造住宅などで古くから使われてきた工法です。

建物の負荷がかかりやすい壁や柱などの部分にコンクリートを打設し、点で建物を支えます。

鉄筋が入るのは外周と柱の下のコンクリートが立ち上がる場所のみとなり、

立ち上がっている部分以外は防水シートを敷いた上にコンクリートを5㎝程度施設します。

15㎝施設するベタ基礎に比べて費用を安く抑えられます。

地盤に接する面積が少ないので比較的地盤の強い土地に適しています。

デメリットは床下に湿気がこもりやすい点ですので防湿対策が必要です。

 

SRC基礎

蓄熱床工法とも呼ばれています。

床下空間がなく、床下に砂利やコンクリートを敷き詰めて密閉構造にする方法です。

コンクリートにH型鋼材を組み込む為、強度が高いという特徴があります。

地震の揺れを吸収して分散するため耐震性が高く、

床下がないため湿気やシロアリの被害がなくなります。

地中からの熱を建物に伝えやすいため、夏は涼しく冬は暖かくする効果が期待できます。

 

 

基礎工事の作業工程8ステップ

基礎工事は大まかに分けると8つの工程で行われます。

地盤調査から始まって遣り方、掘削工事、捨てコン施工、型枠工事、コンクリート打設を行います。

これらの基礎工事の基本的な流れを「ベタ基礎」を例に挙げてご紹介します。

 

ステップ1 地盤調査

地盤調査とは土地がどれくらいの建築物の重さに耐え、

沈下に抵抗する力を持っているか調べることです。

 

ステップ2 遣り方

地盤調査で基礎工事の方法が決まったら「遣り方」という建物が

土地のどこに建つのかを示すためにロープで仮設の囲いをします。

 

ステップ3 掘削工事

基礎の底となる部分まで土を掘る工事で、パワーショベルなどの重機で数回に分けて行われます。

ベタ基礎の場合は建物の範囲全面を、布基礎は立ち上がり部分のみを採掘します。

 

ステップ4 地業・転圧

掘削工事が終わった地面に砕石を敷き詰めます。

この作業を「地業」と呼び、砕石を入れることで地盤を固め強度を持たせる効果があります。

地業をしたら機械を使って「転圧」をして地面を押し固めて砕石の密度を高める作業を行います。

 

ステップ5 捨てコン施工

砕石の上に防湿シートを敷き、基礎の外周部に「捨てコン」を流し込みます。

 

ステップ6 配筋工事

配筋工事という格子状の鉄筋を組み立てる作業を行います。

 

ステップ7 型枠工事・コンクリート打設

外部にコンクリートが漏れ出さないように基礎外周に型枠を組み、ベースコンクリートを流します。

ベースコンクリートが乾燥したら基礎内部に型枠を組み、型枠内にコンクリートを流します。

 

ステップ8 養生・型枠外し

コンクリートの打設が完了したらブルーシートで覆って養生します。

 

 

基礎工事で必要な資格は!?

基礎工事に必ず必要な資格は特にありません。

とはいえあれば技能を客観的に証明できたり、業務上役立つ資格もあります。

基礎工事に従事する方の中でポピュラーな資格と言えば「基礎施工士」です。

基礎施工士は民間資格ですが、「場所打ちコンクリート杭工事」に関する技能を認定する資格です。

資格を取得すれば履歴書に記載することもでき、

場所打ちコンクリート杭工事の技能を有していることが認定されます。

その他、クレーンのフックに荷を掛けたりするために必要な資格の「玉掛け技能講習」や

建設機械を使い掘削作業などを行うための「車両系建設機械運転技能講習」なども

実務上必要になってくる資格です。

車両系建設機械運転技能講習は4つの分類がありますが、

基礎工事では「車両系建設機械運転技能講習(整地・運搬・掘削用)」となります。

 

 

基礎工事のやりがい

 

さまざまな作業に携わることができる

基礎工事ではさまざまな工程を行い、基礎を完成させます。

掘削したり、鉄筋を組んだりと多種多様な工事を行いますので、幅広い技術の習得が可能です。

ブルドーザーやドラグショベルなどの重機も取り扱うため、

重機オペレーターとしても活躍することができます。

 

経験と技術を磨ける

色々な作業を行う基礎工事では現場で経験と技術を磨いていくことができます。

仕事に携わる中で出来ることがどんどん増え、自身の成長を実感することができ、

モチベーションを維持することができます。

 

 

基礎工事は建築における重要な工事

基礎工事は建築物の土台を作るとても重要な工程です。

完成後に確認できるものではない為、すべての工程を正しく丁寧に行う必要があります。

一方で、基礎一つの中にさまざまな技術が結集されているので

作業員にとってもやりがいのある高い技術力を求められる仕事です。

ひとつひとつの工程を正確に行うだけでなく、

地盤の状況や建築物の内容に合った適切な工事を行うことが大切です。