基礎工事でコンクリートを打ったあとに雨が降ると、コンクリートは固まるのか、品質に問題が出て強度が下がるのではないかと不安になる人も多いようです。
建物の基礎部分が水で濡れた状態を発見したら、心配になるでしょう。しかし不安に感じる必要はなく、基礎工事でコンクリートを打ったあとで時間が経っていれば、雨が降っても問題ありません。
この記事ではコンクリートの性質や、基礎工事と雨の関係について紹介していきます。
コンクリートの特徴について
基礎工事で使うコンクリートは、セメントや砂、石、水を混ぜて作られています。コンクリートに含まれた水が蒸発して、コンクリートが固くなると思っている人は多いでしょう。
そのため、打ったあとに雨が降ると水気が多くなり品質に問題が出ると考えてしまう場合もあります。しかしコンクリートは、化学反応によって固くなるため、含まれる水分が多くても少なくても固まります。
むしろ、基礎工事でコンクリートを打ったあとに、雨が降った方が良いという考えが一般的です。理由としては、コンクリートが固まるとき出る熱を抑えるためには雨が必要という説や、外部が乾いたときコンクリートの内部の水分までなくならないように雨が必要という説、急に乾くとコンクリートが割れやすくなるので雨が必要など、いろいろな説があります。
基礎工事とコンクリートと雨の関係について
コンクリートはセメントと水の化学反応によって強度が増します。しかし、コンクリートを打ったあとに表面が乾き始めたとき、水分が蒸発して希望する強度にならないことがあり、乾燥しすぎると表面にひび割れが生じることさえあります。
こうした事態を防止するために、コンクリートを打ったあとに表面の養生として、ホースで散水することもあります。そのためコンクリートを打ったあとに、雨が降っても心配する必要はありません。
また、コンクリートを打ってから、数日経って大量の雨が降ったとしても心配は無用です。しかし、コンクリートを打ってから5時間~6時間しか経っていない状況で強い雨が降った場合には注意が必要です。
コンクリートを混ぜてから固まり、表面が変形しない状態になるまでに、約5時間から6時間程度かかります。この時間が過ぎる前に表面が変形するほどの激しい雨が降ってしまうと、仕上がりや見栄えに問題が出ます。
基礎工事でコンクリートが乾燥する時間の目安について
コンクリートが固くなるのは、乾燥ではなく化学反応によるものです。化学反応は時間をかけてゆっくりと行われるので、セメントの強度を100パーセントと仮定した場合、打ってから1週間で約45パーセント、1ヶ月で約80パーセント、3ヶ月で約90パーセント、1年で約95パーセントといった具合になります。
たとえ100パーセントまで達していなくても十分な強度になるので、通常は1ヶ月経てば十分な固さと考えられています。また、コンクリートの乾燥と固くなる速度は、気温にも左右されるので、夏は固まりやすく強度も強くなり、冬は時間がかかります。
そして、コンクリートは全体が乾燥するまでに養生をしなければなりません。コンクリートがしっかり固まるまでに、乾燥や気温の上昇、雨による変形から基礎を守るためにビニールシートを被せるなどして、最低でも3日から7日程度は養生をしたままにします。
建設業者は工事の時期と天気予報をチェックして、基礎工事の計画を練ります。特に梅雨の季節や冬場は、コンクリートの乾燥に時間がかかるので、その時期を避けて基礎工事を行うケースもあります。
基礎工事でビニールシートを使用するのはなぜか
基礎工事でコンクリートを打ったあとは、しっかりとビニールシートで覆います。コンクリートが雨に濡れたほうが良いという説が正しければ、ビニールシートで覆わない方が良いはずですが、なぜコンクリートの部分にビニールシートを被せるのでしょうか。
基礎工事を行う建設業者によると、ビニールシートには風が吹いて表面だけが乾いてしまうのを防止する作用があります。つまりビニールシートは雨から保護するものではなく、乾燥を防ぐためのものです。
そのため、気温の高い夏場には、コンクリートが乾くことを抑制するためにビニールシートを被せますが、気温の低い冬場では、ビニールシートがなくても大丈夫だと考えている建設業者が多いです。
しかし基礎工事を依頼した業者がビニールシートを被せていない状況を見たら、コンクリートについて知らない人は不安に感じるでしょう。
雨が降ったら水が入ってしまう、他の建設業者はビニールシートを被せていたなどとクレームが入る可能性もあります。そのため、お客さまに不安を与えないためにも、ビニールシートを被せる建設業者が多いようです。
表面が乾かないようにビニールシートを被せる建設業者の目的は、しっかりと仕事をしていることをお客さまに見せる側面もあるようです。
基礎工事で雨がコンクリートに影響する場合
基礎工事を行っているときに雨が降っても基本的には問題ありませんが、例外もあります。
基礎工事でコンクリートを打ったときに雨が降るケース
基礎工事の最中に、型枠のなかにコンクリートを流し入れる作業をしているときに雨が降ると強度に影響します。セメントと水の量を比較してみて、水とセメントの対比が大きいほど、コンクリートの強度が下がるからです。
コンクリートを打ったときに大量の雨が混ざると、設計された強度に達しないこともあるので注意しなければなりません。
突然のゲリラ豪雨で水量が増すケース
土砂降りやゲリラ豪雨など、大量の雨が降っているときにコンクリートを打つ行為は強度を下げるので、行ってはいけません。大量の雨が降る時期には、基礎工事でコンクリートを打ったあとでも注意が必要です。
コンクリートは打ったばかりの柔らかい状態で、強い雨が降ったとしても強度に問題は出ません。しかしきちんと固まっていないコンクリートに強い雨が降り続けると、表面の仕上がりが悪くなります。
そのためゲリラ豪雨が発生しやすい梅雨の季節には天気予報をよく見て、雨が強くなりそうなときにはコンクリートを打たないようにし、ゲリラ豪雨が起きた場合の対策としてビニールシートの準備が必要でしょう。