基礎工事とは?家を支える重要な土台づくり
基礎工事とは、建物の重さをしっかりと地盤に伝え、家が傾いたり沈んだりしないようにするための土台をつくる工事のことです。どれだけおしゃれな間取りやデザインの家でも、基礎が弱いと長く安心して暮らすことはできません。普段は見えない部分だからこそ、基礎工事の流れを知っておくことは、家づくりを成功させるうえで大切です。基礎工事は建物の重さを均等に地盤へ伝え、地震や強風の揺れに耐えやすくし、不同沈下や湿気、シロアリなどから建物を守る役割もあります。戸建て住宅では、建物の下全体をコンクリートで覆うベタ基礎や、柱や壁の下だけを帯状に支える布基礎などの工法があり、最近は耐震性や防湿性の高さからベタ基礎が選ばれることが増えています。
基礎工事の流れ① 事前準備と地盤調査
ここからは、一般的な木造住宅を例に、基礎工事の流れを順番に見ていきます。土地を購入した直後や、これから間取りを決める段階の方でもイメージしやすいよう、できるだけ専門用語を減らして解説していきます。
敷地の状況確認と計画づくり
まずは敷地の大きさや形、周囲の道路との高さ、隣地との境界などを細かく確認します。そのうえで、建物の配置や高さ、駐車場や庭の位置などを含めた計画を固めていきます。この時点で、雨水の流れ方や給排水管のルートなどもある程度イメージしておくと、その後の工事がスムーズに進みやすくなります。
地盤調査で土地の強さをチェック
次に行うのが地盤調査です。スウェーデン式サウンディング試験などの方法で、地面にロッドを差し込み、どのくらいの抵抗があるかを測定します。調査の結果、地盤が軟らかいと判定された場合は、地盤改良工事が必要になることもあります。地盤改良は追加費用がかかりますが、地盤が弱いまま建ててしまうと、将来の不同沈下やひび割れのリスクが大きくなるため、結果として安心につながる大切な工程です。
基礎工事の流れ② 根切り・砕石敷き・転圧
地盤調査と必要な改良工事が終わったら、いよいよ具体的な基礎工事に入っていきます。ここからは、図面に従って土を掘り、地盤を固めていく工程が続きます。現場の見学に行くと、家づくりが本格的に始まったと実感しやすいタイミングでもあります。
根切り(掘削)で基礎の形に土を掘る
根切りとは、基礎をつくるために地盤を所定の深さまで掘り下げる作業です。ショベルカーなどの重機を使い、図面どおりの深さと幅になるよう丁寧に掘っていきます。掘りすぎてしまうと余分な土を埋め戻す必要が出てきますし、浅すぎても基礎の強度に影響してしまうため、職人の経験と正確な測量が求められる工程です。
砕石を敷き詰めてしっかりと転圧する
掘削が終わったら、地盤の上に砕石を敷き詰めていきます。砕石とは、岩石を細かく砕いた石のことで、これを均一な厚さになるように並べ、転圧機でしっかりと押し固めます。砕石層をきちんと締め固めることで、基礎全体を支える地盤の安定性が高まり、沈下やひび割れのリスクを減らすことができます。
基礎工事の流れ③ 防湿シート・配筋・型枠
地盤が整ったら、次は湿気やシロアリ対策、そして鉄筋コンクリートの骨組みづくりに入ります。ここからは、基礎の強度や耐久性に直結する工程が続くため、施工品質の良し悪しが特に重要になります。
防湿シートで地面からの湿気を防ぐ
砕石の上には、防湿シートと呼ばれるビニールシートを敷き詰めます。これは、地面から上がってくる湿気がコンクリートや建物内部に伝わらないようにするためのものです。シート同士の重なり部分を十分に取っておくことや、破れがないか確認することが、長く快適に住むためのポイントになります。
配筋工事で鉄筋を組み上げる
続いて、基礎の中に入る鉄筋を組んでいく配筋工事を行います。鉄筋はコンクリートと一体となって力を受け止める役割を持っており、配置や本数、太さなどが決められた基準どおりに施工されているかがとても重要です。住宅では、第三者機関や監督による配筋検査が行われることも多く、図面どおりに組まれているか、かぶり厚さが足りているかなどを細かくチェックします。
型枠を組んでコンクリートを流し込む準備
配筋が完了したら、コンクリートを流し込むための型枠を組み立てます。型枠は、基礎の形を決める「型」の役割を果たすもので、木製や鋼製の板を使って組み上げます。型枠の精度が悪いと、完成した基礎の寸法や水平が狂ってしまうため、細かな調整と固定が欠かせません。
基礎工事の流れ④ コンクリート打設と養生
型枠と配筋の準備が整ったら、いよいよコンクリート打設の工程です。ここは基礎工事の中でも特に重要な山場であり、天候や気温の影響も受けやすいため、職人の段取りと判断力が問われます。
コンクリートを打設してバイブレーターで締め固める
生コン車で運ばれてきたコンクリートを、ポンプ車やシュートを使って型枠の中に流し込んでいきます。このとき、バイブレーターと呼ばれる機械でコンクリートを振動させ、余分な空気を抜きながら密度を高めます。コンクリート内部に気泡が残っていると、強度不足やひび割れの原因になるため、均一に行き渡るよう慎重な作業が求められます。
養生期間をしっかり確保することが大切
打設が終わったら、コンクリートが十分な強度を発揮するまで乾燥させる養生期間が必要です。一般的には数日から1週間程度をかけて硬化を待ち、気温や天候によっては養生シートで覆ったり、水を撒いて乾燥しすぎを防いだりします。この養生を丁寧に行うことで、基礎のひび割れや強度不足のリスクを減らすことができます。
基礎工事で失敗しないためのチェックポイント
最後に、施主として基礎工事の流れを理解したうえで、どこを意識しておくと安心につながるのかをまとめます。すべてを細かく把握する必要はありませんが、大事なポイントを押さえておくことで、業者との打ち合わせや現場見学の質がぐっと高まります。
地盤調査と改良内容をきちんと確認する
まず大切なのは、地盤調査の結果と、それに基づく地盤改良の内容をしっかりと説明してもらうことです。なぜその工法が必要なのか、どの程度の強度が確保できるのかを理解しておくと、追加費用が発生した場合でも納得感を持ちやすくなります。
配筋検査やコンクリート打設のタイミングを共有する
次に、配筋検査やコンクリート打設の日程を事前に共有してもらい、可能であれば現場を見学することもおすすめです。鉄筋の組み方や型枠の状態は、コンクリートを流し込んでしまうと確認できなくなります。写真で記録を残してもらうだけでも、後から振り返ったときの安心材料になります。
信頼できる業者を選び、気になる点は遠慮なく質問する
基礎工事は専門的な内容が多く、図面や数値だけを見ても分かりにくい部分がたくさんあります。だからこそ、質問に丁寧に答えてくれるか、説明がわかりやすいかといったコミュニケーション面も、業者選びの重要なポイントになります。少しでも不安に感じることがあれば、そのままにせず早めに確認することが、後悔しない家づくりへの近道です。